土曜日, 8月 08, 2020

FM Cooking : 基礎 3 多彩なキックづくり・音色編

[Update] Fri Aug 14 19:06:46 JST 2020: X68000 内蔵音源の YM2151 のパラメーター調整であることを明示。MML の具体例をより簡素に。


 基礎 3 は多彩なキックづくりのための音色パラメーターの調整方法を解説します。わたしは X68000 内蔵音源の YM2151 しか使ったことがないので、68 べったりな解説となりますゆえ、それ以外の FM 音源ユーザーは脳内置換でなんとかしてください。4-Op. 以上なら同等のキックを創れるはずです。特に重要なアルゴリズムについてはてきと~にぐぐって確認をば。


 キックの鳴らし方は基礎 1-2 と同じです。今回は、基礎 2 の基本パラメーターを基準に調整をしてまいります。OP1 だけ調整すればよしですが、OP2-4 も少しいぢくります。チョットダケ。

 OP2-4 の ADS と TL は基礎 2 同様 AR=31 DR=00 SR=00 TL=00 です。MUL は 1 か 2 で、重低音でキックを轟かせたい場合に 1 を指定しますが、その場合は他のパラメタや MML も絡んで頭がフットサルになってしまうので、とりあえず MUL=2 にしときます。

 キック用の音色に使える ALG/FB は ALG=5-7 FB=0-5 です。このふたつは質感と印象に大きく関わる重要なパラメーターです。解説は後回しにして、とりあえずディヴァスィティでパウワフオなキックを創れる ALG=5 FB=4 に絞ります。TL は 0 (最大値) でオケーイ。

 ADSR の調整はちょっと細かいので、ひとまず以下のパラメーターにします。

AR=28 DR=28 SR=16 RR=7 SL=11

 各パについては後ほど。以上まとめると、以下の様。鳴らし方もついでに貼っときます (基礎 1-2 と同じです)。


  • ALG=5 FB=4
  • OP1: AR=28 DR=28 SR=16 RR=7 SL=11
  • OP2-4: ADS は ENV 波形が四角に近い形になるよう AR=31 DR=00 SR=00 に。SL=00 RR=8
  • OP1-4: TL は最大値。MUL=2 2 2 2

鳴らし方: アタック相当のポルタメント F2 → D1 (32 分音符の長さ) と、サスティンの相当ポ D1 → F-1 (32 分音符の長さ) をタイでつなぐ (ふたつ分のポで 16 分音符の長さ)


 これでいい感じに「ドゥンッ」と跳ね系キックが鳴るはずです。AR と DR を少し緩めたところがポインヨ。これによってアタック感を強めています。緩めたのに強まる不思議については後ほどで。

 Z-Music V2 の MML で書くと以下です。


(@125
/ AR  DR  SR  RR  SL    TL KS  ML DT1 DT2 AME
   28, 28, 16, 07, 11, 000,  0, 02,   0,   0,   0
   31, 00, 00, 08, 00, 000,  0, 02,   0,   0,   0
   31, 00, 00, 08, 00, 000,  0, 02,   0,   0,   0
   31, 00, 00, 08, 00, 000,  0, 02,   0,   0,   0
AL  FB  OM
   05, 04, 15)

(t8) @125 q8o2l32 (c,>d)&(d,>>f)r8.<<<


 調整するパラメーターに色を付けときました。数列ババーン!だとグヘエ~となってやる気が失せますが、キックに関してはこれだけイヂればオケなんです。アラカンタン!

 このキックは分解系レコーズからリリースした dendel voil (スペシャルサイト) に収録した Nonstoeja という曲で使ってるキックです。解説のために少し変えてありますが、だいたい同じです。


パラメーターの調整


 基本的に OP1 だけ調整すればヨシで、OP2-4 は MUL か RR を調整するときだけイヂります。

 キック用音色として実効がある OP1 のパラメーターの範囲は以下の通り。カッコ内の値は俺基準値です。値は ±1 づつ微調整してください。一気にゴリっと変えるのはノン! 少しづつ、じっくりやるのがコツ。


ALG=5-7 FB=0-5 (ALG=5 FB=4)


 質感・印象に大きく関わる重要パラメーターです。ALG は値が高いほどやわらかな感じになり、他のパラメーターを調整しても代わり映えしなくなるので、基本 ALG=5 です。ALG=5 で他のパラメーターを調整した後、ALG=6 にしても割とイケます。ALG=7 は単純なキックしか創れませんが、低域がきれいに出ます。

 ちなみに ALG=0-4 はキックには使えませんのでポイッ。

 FB は値が低いとマットな質感に、高いとパキッとした質感?になります。6 以上は調整がムツカシ (ノイズになりやすい) ため、0 から 5 がベター。あれこれ試すのがめんど~なら 4 か 5 で。4 か 5 でもけっこう印象が変わります。二択もめんど~~という上級社会人様は FB=4 にしてください。

 6 以上はガバキックづくりのときに活躍します。今は封印しときましょう。

 FB をへたくそな例えで表すなら以下の有様です。

    1. 0 ... プレーンヨーグルト
    2. 1 ... プレーンヨーグルト+
    3. 2 ... プレーンヨーグルト…いや待てよ……これは…
    4. 3 ... プレーンヨーグルトではない
    5. 4 ... パリパリバー
    6. 5 ... ジャイアントコーン クッキー&チョコ味
    7. 6 ... 【封印】
    8. 7 ... 【封印】

 番号付きリストにしてしまって見づらい!なんてこった!


MUL=2 2 2 2 (MUL=1 2 2 1)


 印象・音圧・重量感・に大きく関わります。キック用の音色では 5 以上はよほどのことが無い限り使いませんので、今ちょうどよほどのことになってる方は 5 以上にチャレンジしてください。

 偶数で揃えないと音圧の塩梅が良くないんで、4 2 2 2 か 2 2 2 2 になっちゃいます。奇数はガバキックのときに使います。

 OP2-4 は 1 か 2 です。俺基準値では OP4 が 1 となってますが、明瞭な理由はありません。聞いた感じが良かったのでそうしました。カッとなってヤッた的な。

 0 は音が聞こえなくなっちゃうんでめったに使いません。0 0 0 0 とかやってみればいいよ!鳴んないから!


AR=27-31 DR=27-31 (AR=29 DR=30)


 このふたつはアタック感に関わります。値をサゲればアタック感が強まり、アゲればアタック感は弱まります。値を最大値にすれば ENV 波形は直角に立ち上がって速いアタックになりますが「速い=強い」ではないのでご注意を。

 27 より下げるとキックっぽさが薄れていき、24 以下に下げるとチャランポランな風情が漂ってまいりますが、使い方次第で面白いキックになる可能性を秘めています。変だと感じた音から新しい音が生まれるものなので、変になっても赴くまま突き進んでください。←ココ!大事なとこ!


SR=10-20 SL=9-14 (SR=15 SL=11)


 鋭さ・跳ね感・重量感に関わります。SR をサゲると重量感が増し、アゲるとシュッとしたキックになります。アゲすぎるとアタック感を弱めてしまうので注意。バランスが大事です。

 SL は SR のかかり具合です。SR より SL の値が高いとよくわかんない感じになります。わたしもよくわかっていません。

 SL の値が低いほど SR のかかり具合が緩くなり、値を高くするとシュッ!となります (?) 。 SR が 18 以上だと SL は効かなくなります。よくわかんないんで SL=10 でいいです。 


RR=3-11 (RR=8)


 鋭さ・重量感・残響に関わります。サゲると重量感と残響が増し、アゲるとシュッとしたキックになります。アゲすぎるとアタック感を弱めてしまうのでバラ大です。

 値をサゲた場合は OP2-4 もそれに伴うようサゲます。より重量感を増したい場合は RR=3 5 6 7 などとします。値が 1 づつ多くなっていると、残響がイ~カンジになります。こういったビミョーな加減が曲全体の雰囲気に影響します。



AR と DR を緩めたのにアタック感が強まる不思議について


 OP2-4 は AR=31 DR=31 なので発音と同時に音が鳴ります。AR DR を緩めた OP1 の音は僅かに遅れて鳴ります。僅かに遅れて鳴る音を ENV 波形のふたつ目の頂点と捉えると、アタック感が強まるカラクリがぼんやりとわかるんじゃないでしょうか。

 この理屈は誤っている可能性が高いので無視してください。わたくしもよくわかっておりませんブチャケ。


DT2=0-1(MUL=3の場合)



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